商品はデザイン性のあるCushionで、ターゲット層は 10代から20代の女性。社会的影響力の強いこの層へ受け入れられるブランドへとシフトするのが今回のマーケティング調査の狙いです。
方法はいたってシンプル。
50種類程度ある商品の中で好きなデザインと、嫌いなデザインを選び、順位付けしてもらうというもの。
そこで面白いほどにはっきりとした結果が得られました。
(好き) *右記は上位アイテム
・色はパステルなど優しい色合いのもの
・柄はシンプルで、コンテンポラリーなデザイン
・ワッペンなどの「ワンポイントのない」、プレーンなデザイン
・原色など強い色、ごちゃっとした色の組み合わせ
・何かわからない柄や、可愛すぎる柄
・ワッペン付
「好きなデザイン」と、「嫌いなデザイン」におもしろいくらいに明確に票が分かれました。
もっとも興味深かったのは、日本人には当たり前でも、アメリカ人にとっては何かわからないモチーフや柄があったこと。また動物の表情も、私たちが可愛いと思っても、アメリカ人には「悲しそう」「怒ってる」など、与える印象が全く異なったということ。
当然、今まで数多くの市場調査を行ってきましたし、頭ではわかっているつもりでしたが、今回の「好きか嫌いか」という極めて感覚的な調査によって、
理屈や論理ではなく、今までアメリカという国で育った人々が感じること、受ける印象は、我々日本人とは根本的に違うということを改めて実感しました。
ちなみに日本をはじめ、アジアの諸外国では、上記の「嫌い」グループが人気とのこと!さらに、アメリカでは売れないワッペンつきが、日本やアジアでは良く売れるそうです。ほぼ「真逆な感覚」であることがわかります。
そして調査結果を元に、再度ブランディングを見直し、販売戦略、商品戦略を再構成しました。
商品構成を今までの半分に削り、Web CatalogからSNS、展示会のブースデザインを一新したところ・・・・
今まで専門店を中心にした販売だったのが一転、大手のバイヤーがブースに立ち寄り、非常に良い商談、引き合いを増やすことができ、売上も今まで停滞していた壁を打ち破ることができました。
市場調査の際、常に意識することですが、アメリカ人と日本人の様々な「違い」は、決して数字や理論で片付けられるものではなく、歴史、文化、宗教、言語、人 種、気候といったありとあらゆる要素が複合的に重なり合って生じているものです。アメリカの中でも、トレンドの発信地であるNYに住む私たちが、日々敏感 にそういった「感覚の違い」を感じ取り、商品企画や戦略に反映させていくことが、非常に重要であると、改めて認識させら れる結果となりました。
Lily